住友林業クレストのフロアコーティング|挽き板とシートで違う相性

監修者

フロアコーティングアドバイザー|執行役員
対馬 洋二

業界10年。数多くのフロアコーティングを手掛けてきました。前職はRIZAPのトレーナーとして、お客様の目標達成にコミット。その経験を活かし、売るためではなく、本当に必要なご提案を大切にしています。床材との相性や種類、ペット対応まで分かりやすくご説明します。

住友林業で家を建てました。床は住友林業クレストという会社の製品だと言われたのですが、公式サイトを見てもコーティングの可否がどこにも書いてありません。うちの床はそもそも木なのかシートなのかも分かっていなくて、何から調べればいいのでしょうか。

調べる順番が逆になっています。住友林業クレストの公式サイトは、お手入れの案内をいきなり始めません。最初のページで「ご使用のフロアの種類は?」と読者に聞き返してきます。床を4つに分け、表面の仕上げをさらに4つに分け、そこから先の答えが枝分かれする作りです。つまりこのメーカーの床は、製品名ではなく分類が決まらないと相性の話に入れません。品番より先に、自分の床がどの枝にいるかを確定させてください。

この作りは、床材メーカーの公式サイトとしてはかなり珍しいものです。多くのメーカーは製品ページに機能を並べ、お手入れは共通の注意書きで済ませます。住友林業クレストは逆で、共通の注意書きを最小限にして、分類ごとに答えを変えています。

月300件以上のフロアコーティングを施工している専門業者として申し上げると、この作りは施主にとって実は親切です。うちの床は挽き板です、と言えるようになった時点で、判断の半分は終わっているからです。以下、当社が2026年9月に同社の一般向け公式サイトで確認した原文と、現行の2製品の構造をもとに、どこで枝が分かれるかを整理していきます。

この記事の結論
  • フロアコーティングの可否についての記載は、確認できませんでした。禁止も推奨もされていません
  • 床は4分類、表面仕上げも4分類で公開されています。挽き板の厚みは2〜3mmと公式に明記があります
  • オイル塗装の床にだけは、ワックスを使わないよう明記されています。膜を嫌う理由も書かれています
  • 現行の2製品はどちらもワックス不要です。すでに硬い膜が載った床に、2枚目を載せる相談になります
目次

住友林業クレストは、答えの前に床の種類を聞いてきます

まず、このメーカーの情報の並び方を押さえてください。ここが分かると、あとの判断が速くなります。

入口のページが、いきなり質問形になっています

同社のメンテナンスガイドには、フロアの項目が何ページか用意されています。その1ページ目のタイトルが「ご使用のフロアの種類は?」です。お手入れの手順でも、やってはいけないことの一覧でもなく、読者への問いかけから始まります。

そこで示されている分類が、次の4つです。原文をそのまま引いておきます。

1種類の木材(無垢材)から削り出し、表面仕上げされたものです。/薄くスライスされた板(突板)を合板などの基材の上に貼り合わせ、表面仕上げされたものです。/木材をノコギリなどで挽いて切った厚み2~3mmの板(挽板)を合板などの基材の上に貼り、表面仕上げされたものです。/合板にハードベース(MDF)を貼り合わせた基材です。木材の小片を接着剤で固めたパーティクルボード基材などの上に、化粧シートを貼ったものです。

住友林業クレスト メンテナンスガイド 基材による4分類の記載

注目してほしいのは3つ目です。挽板の厚みが2〜3mmだと、メーカー自身の言葉で書かれています。この数字を公開している床材メーカーは、当社が調べた範囲では多くありません。厚みが分かるということは、表面をどれだけ削れるかが分かるということで、これは施工の可否に直結します。

表面仕上げも、さらに4つに枝分かれします

同じページには、表面仕上げの分類も並んでいます。ウレタン塗装は「表面にポリウレタン樹脂を塗り、塗膜を形成する塗装です」、UV塗装は「紫外線を照射して塗料を硬化させ、塗膜を形成させる塗装です」と書かれています。

そして残りの2つが、当社の現場感覚では決定的です。

床材の表面に亜麻仁油(あまにゆ)や荏胡麻油(えごまゆ)などの天然植物オイルを染みこませたものです。ウレタン塗装やUV塗装と異なり、木材の表面に樹脂の塗膜は作りません。/樹脂フィルムに木目柄を印刷し、その上に強化コーティング層を形成した化粧シートを、基材の上に貼ったものです。

住友林業クレスト メンテナンスガイド 表面仕上げ4種の記載

オイル塗装は樹脂の塗膜は作りませんと明言されています。逆にシート貼りは「強化コーティング層を形成した」と説明されます。同じメーカーの床でも、片方は膜を作らない設計、もう片方はすでに膜がある設計です。相性の話が製品名では決まらない理由が、ここに出ています。

分類から相性を逆算すると、こうなります

公式の分類に、当社の施工判断を重ねて整理しました。分類そのものは公式の記載、右端の欄は当社の実務での扱いです。

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公式の分類公式が書いている中身当社の扱い
無垢フロア1種類の木材から削り出し、表面仕上げされたもの塗装の種類次第。オイル仕上げなら見送りをおすすめします
挽板フロア厚み2〜3mmの挽板を基材の上に貼ったもの施工できます。削る下地処理は最小限に抑えます
突板フロア薄くスライスした突板を貼り合わせたもの施工できます。研磨はほぼ使えないと考えてください
シート貼りフロア化粧シートを基材の上に貼ったもの施工できます。密着テストの結果を見て判断します
分類と説明は住友林業クレスト メンテナンスガイドの記載。右端は当社の施工判断です
フロアコートアドバイザー

現場では、この4分類が分かるだけで打ち合わせが短くなります。挽き板だと分かれば、当社は最初から研磨の提案をしません。2mmの層を削って薄くする意味がないからです。

コーティングの可否は、公式には書かれていませんでした

ここは正直に書きます。

当社が2026年9月に同社の一般向け公式サイト、製品サポート、よくあるご質問、メンテナンスガイドを通して読んだ範囲では、フロアコーティングの可否についての記述を見つけられませんでした。禁止の文言もなければ、推奨の文言もありません。施工店向けの資料や有償のカタログまでは範囲に入れていないので、そちらに記載がある可能性は残ります。

これは珍しいことではありません。当社が原文を確認した床材メーカーのうち、コーティングにはっきり触れていたのは6社でした。大建工業とLIXILとノダは使用しないでくださいと書き、ウッドワンは推奨していないと書き、永大産業は可否を答えられないと書き、イクタは業者の実績を施主が確かめてくださいと書いています。住友林業クレストは、そのどれでもありません。

代わりに読めるのが、ワックスの線引きです

可否が書かれていない床について、当社が毎回やることがあります。同じメーカーがワックスをどう扱っているかを読むことです。ワックスとコーティングは別物ですが、床の表面に別の層を載せる行為という点では地続きです。メーカーがどこで線を引いているかは、そこに出ます。

住友林業クレストのワックスがけのページには、次の説明があります。

ワックスをかけると、床を保護する膜ができて、傷や汚れがつきにくくなります。

住友林業クレスト メンテナンスガイド ワックスがけ 膜の効用の項

膜ができることを、効用として肯定的に書いています。膜そのものを嫌っているメーカーではない、と読めます。ただし条件が続きます。

オイル塗装仕上げのフロアにワックスを塗ってしまうと、木材が水分を吸い込んでしまい、後に乾燥して割れが発生したり、木材の油分が抜ける可能性があります。オイル塗装仕上げのフロアにはワックスを使用しないでください。

住友林業クレスト メンテナンスガイド ワックスがけ オイル塗装への注意

理由まで書いてあるのが有り難いところです。木が水分を吸い、あとで乾いて割れる。油分が抜ける。これは木そのものに呼吸させる設計だから、表面をふさぐなという話です。フロアコーティングはワックスよりはるかに硬く厚い膜を作りますから、この理屈はそのまま当てはまります。オイル塗装の床については、当社も施工をおすすめしません。

もう1つ、床鳴りの原因が名指しされています

同じページに、こんな注意書きもありました。

ワックスをフロア表面に多量に撒き散らさないように!⇒目地のふくれ、床鳴りの原因となります。

住友林業クレスト メンテナンスガイド ワックスがけ 塗り方の注意

目地のふくれと床鳴り。液体が板と板のすき間に入り込むと何が起きるかを、このメーカーは分かって書いています。当社が施工でいちばん神経を使うのも、まさにここです。床材の継ぎ目に液剤を溜めない。塗る量と、目地に入った分の拭き取りは、仕上がりの見た目より先に決まる話だと考えています。

ルシードEXは、2mmの挽き板にもう1枚を載せる相談です

ここからは現行の製品を見ます。同社のフロアのページに並んでいるのは2製品です。まず挽き板のほうから。

ルシードEXは、公式に「天然木の風合いそのまま、2mmの挽き板を使用した銘木フロア」と説明されています。続けて「傷や汚れがつきにくいハードコート仕上げで、アール面の美しさが際立つ120mmの幅広デザインが特長です」とあります。別の記載では「表面にはUV塗装を施し、汚れやスリッパなどによる擦り傷が付きにくく、ワックス不要でお手入れも簡単です」と書かれていました。

すでにUV塗装が載っている床だ、という前提から始まります

これが判断の出発点です。ルシードEXは、無塗装の木ではありません。工場でUV塗装を焼き付けた、硬い面を持つ床です。そこへ当社が施工する膜は、木の上に載るのではなくメーカーの塗膜の上に載ります。

だから密着が論点になります。硬くて汚れが付きにくい面は、裏を返せば他のものも付きにくい面です。当社は施工前に、押し入れの中やキッチンの機器の裏など、目立たない場所で必ず密着テストをします。ここで弾かれる床は、無理に塗っても数年で縁から浮いてきます。

ワックス不要と書いてあるなら、コーティングもいらないということではないのですか。

もっともな疑問だと思います。当社の答えはこうです。ワックス不要は、手入れの手間についての話です。塗り直しをしなくても見た目を保てますよ、という意味であって、傷が入らないという意味ではありません。実際、同社は擦り傷が付きにくいと書いていて、付かないとは書いていません。椅子の脚、掃除機のヘッド、犬の爪。その手の力が加わる場所で、2mmの挽き板の表情を守りたいかどうかが分かれ目になります。

削って直す手が、この厚みでは使えません

2mmという数字が効いてくるのはここです。無垢の床なら、傷が深くても表面を削って塗り直すという道が残っています。板全体が木だからです。挽き板は違います。2mm削れば、その下は合板です。

つまりルシードEXは、傷が入ってから直すより、入る前に守るほうが理にかなった床です。当社がこの床でコーティングの相談を受けたとき、入居前をおすすめする理由もそこにあります。生活が始まってからでは、すでに入った傷ごと膜で閉じ込めることになります。

艶についても一言添えます。UV塗装の面は、もともとある程度の光沢を持っています。そこへ光沢の高いコーティングを重ねると、写真で見たときの印象よりかなり照ります。銘木の表情を買った方ほど、艶を抑えた仕上げのほうが満足度は高くなります。

製品ごとの詳しい話は、ルシードEXの解説として順次追加していきます。

ベリッシュ シストSは、膜の上に膜を重ねる床です

もう1つの現行製品が、シート系のベリッシュ シストSです。こちらは構造が公開されていて、読み解きがいがあります。

公式の説明では「環境・機能・インテリア性を併せ持つオリジナルシートフロア」とされ、表面には強化フィルムのオレフィンが使われています。基材の作りは「強化フィルム+ハードベース(MDF)のダブル効果」と書かれ、その狙いも記載がありました。

「強化フィルム+ハードベース(MDF)」の採用により、温度、湿度の変化に強く、ひび割れが起きにくくなっています。

住友林業クレスト ベリッシュ シストS 製品ページ 基材の説明

メーカー自身が、表面を硬化させたと書いています

この製品でいちばん見落とされている記載がこれです。

EBコーティング技術により表面を硬化させています。生活行動の中で頻繁に発生する擦り傷などに強い構造

住友林業クレスト ベリッシュ シストS 製品ページ 表面硬化の説明

メーカーが自社の表面処理をコーティングと呼んでいます。電子線で樹脂を硬化させる方式のことで、シート表面の強化に使われます。つまりこの床は、工場の時点ですでに硬い膜をまとっています。当社が施工する液剤は、その上に2枚目として載ることになります。

ここで誤解してほしくないのは、2枚目に意味がないという話ではないことです。工場の膜は薄く、シートの印刷面を守るためのものです。当社が載せる膜は厚みが違い、目的も違います。ただし下地がつるつるに硬いという条件は動かないので、密着の確認が他の床より重くなります。

機能がどこに入っているかを、先に確かめてください

ベリッシュ シストSの仕様欄には、抗菌、耐クラック、擦り傷対応、キャスター対応、ペット対応の傷と汚れ、床暖房といった項目が並びます。

当社が気にするのは、これらの機能がどの層にあるかです。抗菌が表面の層に与えられているなら、膜で覆った時点で床の抗菌は働かなくなります。働くのは当社の膜の表面だけです。同社は加工部位を明記していないため、断定は避けますが、シート表面の処理である可能性が高いと当社は考えています。

この論点は、他社でもはっきり出ています。朝日ウッドテックは、膜を載せると抗ウイルスや抗菌の性能が全く発揮されなくなると公式に書いていますし、パナソニックは抗菌剤と抗ウイルス剤が塗装に配合されていると明記しています。抗菌が売りの床にコーティングをかけるなら、その機能は手放す前提で決めてください。

一方で、床暖房対応は膜を載せても残ります。熱で膨らんだり縮んだりする床に強い膜を貼るので、当社は床暖房のある部屋では割れにくい液剤を選び、施工後の初回の立ち上げをゆっくり行うようお願いしています。

シート系の床全般の扱いは、こちらの記事にまとめています。

2製品を並べると、選ぶ種類が変わります

同じメーカーの床でも、当社の提案は正反対になります。整理した表がこちらです。

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比べる点ルシードEXベリッシュ シストS
表層挽き板 2mm。天然木強化フィルム(オレフィン)。印刷された木目
基材合板合板にハードベースを貼り合わせ
工場の表面処理UV塗装のハードコート仕上げEBコーティングで表面を硬化
ワックス不要不要
床暖房対応対応
当社がすすめる艶艶を抑えた仕上げ。木の表情が主役艶は好みで選べる。印刷柄なので破綻しにくい
守りたいもの2mmの木。削って直せない印刷面。破れると木ではないことが分かる
表層と表面処理は住友林業クレストの製品ページの記載。艶と守りたいものの欄は当社の判断です

この表で伝えたいのは、守る対象が違うということです。ルシードEXで守るのは木の質感で、ベリッシュ シストSで守るのは印刷面の無傷さです。目的が違えば、選ぶ液剤も艶も変わります。

フロアコートアドバイザー

シートの床は、傷が入った瞬間に木ではないことが露見します。白い線が走って、その下から色の違う層が出るからです。だから当社は、シート系こそ入居前の施工に価値があると考えています。

床の種類を、この順番で突き止めてください

ここまで読んで、自分の床がどれか分からないという方のために、確認の道順を書いておきます。上から順に試すと、たいてい途中で判明します。

STEP
引き渡し書類の内装仕上表を開く

床の欄に製品名と品番が書かれています。住友林業クレストの製品なら、ルシードEXやベリッシュといった名前が出ます。ここで分かれば、あとの手順は不要です。

STEP
木目が繰り返しているかを見る

部屋の端から端まで床を見渡して、同じ木目が何度も出てくるならシート系です。天然木は1枚ごとに柄が違うので、繰り返しは起きません。しゃがんで斜めから見ると分かりやすくなります。

STEP
板の小口を探す

収納の入口や敷居のきわで、床板の断面が見えることがあります。表面だけ色が違い、その下に層が見えるなら挽き板か突板です。層の厚みが1mmを超えていれば挽き板の可能性が高くなります。

STEP
手のひらで撫でて、艶と触感を確かめる

しっとりして木の導管の凹凸を感じるならオイル塗装の疑いがあります。この場合、当社は施工を見送るご提案をします。つるりとして均一ならウレタンかUVの塗膜、あるいはシートです。

STEP
それでも分からなければ、現地で見てもらう

当社は見積もりの際に床材を確認し、目立たない場所で密着テストをしています。判断がつかない状態でのご相談で構いません。むしろ間違った自己申告で進むほうが、あとで困ります。

費用の目安と、当社が見送りをすすめる場合

金額の話も具体的にしておきます。以下は当社の施工実績にもとづく目安で、保証値ではありません。床の状態と広さ、家具の有無で前後します。

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種類㎡単価の目安3LDKの総額目安耐久年数の目安
UVコーティング4,500〜6,000円29〜42万円20〜30年
ガラスコーティング3,500〜5,500円22〜38万円15〜25年
シリコンコーティング3,000〜5,000円19〜35万円10〜20年
当社の施工実績にもとづく目安です。金額と年数を保証するものではありません

住友林業クレストの現行2製品は、どちらもワックス不要です。だから施工前のワックス剥離が不要で、1〜3万円ほどの費用が浮きます。ただし前の住人が独自にワックスをかけていた中古住宅では話が別で、剥離から始めます。

この条件なら、当社はお断りします

施工を見送るケース
  • オイル塗装の床。メーカーがワックスを禁じている理由が、そのまま当てはまります
  • 密着テストで液剤が弾かれた床。数年で縁から浮きます
  • すでに深い傷が多数入っている床。傷ごと閉じ込めることになります
  • 抗菌性能を残したいという希望が強い場合。膜を載せると床側の機能は働きません
  • 売却が近い住まい。回収できる金額と工事費が見合わないことがあります

そもそも必要かどうかから迷っている方は、先にこちらを読んでください。当社は施工しないほうがいい方の条件も公開しています。

フロアコーティングが不要な人の条件と、耐久年数の実際を見比べると、判断がはっきりします。

他のメーカーと並べると、立ち位置がよく見えます

住友林業クレストの姿勢を、当社が原文を確認した他社と並べてみます。

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メーカーコーティングへの言及施主が置かれる状況
住友林業クレスト確認できませんでした床の分類を自分で確定させてから判断する
大建工業使用しないでくださいと明記施工すると保証の話が難しくなる
永大産業検証していないので可否を答えられないと明記判断と責任が施工業者に移る
朝日ウッドテック抗ウイルスや抗菌の性能が発揮されなくなると明記何を捨てるかを先に決める
各社の一般向け公式サイトで当社が2026年9月に確認した記載をもとに整理しました

言及がないことは、賛成でも反対でもありません。ただ施主が自分で決めなければならない範囲が広いということです。だからこそ、分類を先に確定させる意味があります。

はっきり禁止しているメーカーの事情は、大建工業の記事で詳しく扱いました。判断を預けるタイプの回答をしているメーカーについては、永大産業の記事で書く予定です。天然木を扱う朝日ウッドテックの記事も併せて読むと、業界の温度差が分かります。

施工したあとの手入れで、寿命が変わります

膜を載せたあとの扱いについて、同社の注意書きがそのまま使えます。

スチーム洗浄機を使用すると、熱や水分により、フロアに突き上げ、膨れ、ヒビ割れ、カビ、変色、白化などが生じる恐れがありますので、使用は控えてください。

住友林業クレスト メンテナンスガイド 基本のお手入れ

コーティング後も同じです。というより、膜があるぶん熱と水分の逃げ場が減るので、より気をつけてください。同社は「ラッカー薄め液(シンナー)などの溶剤類や強いアルカリ洗剤は絶対に使用しないで」とも書いています。この2つを守るだけで、トラブルの大半は起きません。

日常の手入れは、むしろ軽くなります

同社は日常のお手入れについて「普段のお手入れは、ゴミやホコリを取り除き、乾いた布やモップで拭いてください」としています。コーティング後もこの方針で問題ありません。膜が汚れの侵入を防ぐので、固く絞った布で拭ける範囲が広がります。

注意点も1つ。同社はロボット型掃除機について、ブラシに小石などが噛み込むと床表面を傷つける恐れがあると書いています。膜があっても、噛み込んだ砂は膜を削ります。玄関マットと、掃除機のヘッドの点検は続けてください。

共働きで、半年ごとのワックスがけをする時間がありません。そのために検討しているところもあります。

住友林業クレストの現行2製品は、もともとワックス不要です。だから手間を減らす目的だけなら、急ぐ必要はありません。当社が施工の価値を感じるのは、傷を入れたくない、艶を長く保ちたい、という目的がはっきりしている場合です。

どの種類を選ぶかは、床ではなく暮らしで決まります

最後に種類の選び方です。住友林業クレストの床という前提だけでは、種類は決まりません。決めるのは暮らし方のほうです。

ルシードEXのように木の表情が主役の床では、当社はガラスコーティングを提案することが多くなります。膜が薄く、艶が上がりすぎないからです。20年以上そのままにしたい、椅子を引きずる書斎がある、という条件ならUVコーティングが候補になります。

ベリッシュ シストSのようなシート系で、ペットが走る家ならシリコンコーティングも選択肢に入ります。滑りにくさを出せるからです。2つで迷ったときの比べ方は、ガラスとUVの比較記事にまとめました。

配下の製品ごとの話は、ベリッシュとベリッシュ シストSについて順次掘り下げていきます。

住友林業クレストの床とフロアコーティングのよくある質問

住友林業クレストは住友林業と同じ会社ですか

別法人です。住友林業クレストは建材と内装部材を手がける会社で、フロアや建具を製造しています。住友林業の家に採用されることが多い一方、床材そのものは他社製が使われる場合もあります。だから住友林業で建てたという情報だけでは、床の製品名は決まりません。竣工図書の内装仕上表で確認してください。

公式に書かれていないのに施工して大丈夫なのですか

書かれていないことは、禁止されていないということです。ただし書かれていない以上、うまくいかなかったときにメーカーの記載を根拠にできません。だから当社は、床の分類を確定させ、現地で密着テストをしてからでないと見積もりを出しません。判断材料を自分たちで作る、という順番になります。

ルシードEXはワックス不要と書かれています。何も塗らないほうがいいのでは

手入れの手間だけを考えるなら、その通りです。当社も、傷を気にしない暮らしなら何もしないでいいと申し上げています。判断が変わるのは、2mmという厚みを知ったときです。深い傷が入っても削って直せないので、守るなら先に守るしかありません。椅子や犬がいる家では、その差が10年後に出ます。

ベリッシュ シストSの抗菌は、コーティングしても残りますか

同社は抗菌の加工部位を公開していないため、断定できません。ただシート系の床では表面の層に与えられているのが一般的で、その場合は膜で覆った時点で床側の抗菌は働かなくなります。抗菌を重視して選んだ床なら、施工前にその点をどう考えるか決めてください。当社の膜自体に抗菌性を持たせる選択肢もあります。

EBコーティング済みの床に、もう1枚重ねる意味はありますか

目的が違うので意味はあります。工場の硬化層はシートの印刷面を守る薄い層で、家具の脚が食い込むような力を想定していません。当社の膜は厚みがあり、点で加わる力を面に逃がします。ただし硬い面の上に塗るので、密着の確認は他の床より慎重に行います。ここを飛ばす業者には任せないでください。

床暖房が入っていますが、施工できますか

2製品とも床暖房対応と記載があり、施工も可能です。当社は割れにくい液剤を選び、施工後しばらくは床暖房の立ち上げをゆっくり行っていただくようお願いしています。急に高温にすると、乾ききっていない膜に負担がかかります。工事の日程を決めるとき、暖房を止められる期間も併せてご相談ください。

オイル塗装の床だと、本当に何もできませんか

コーティングは当社としておすすめしません。同社がワックスを禁じている理由が、木が水分を吸って割れる、油分が抜けるというもので、膜を作る施工はこれに真っ向から反するからです。代わりに、専用のオイルでの定期的な塗り直しと、家具の脚のフェルト、玄関での砂落としで守る方法をご案内しています。

中古で買った家の床がクレスト製でした。今からでも間に合いますか

施工自体はできます。ただ年数が経つほど、生活で入った細かい傷と汚れの処理に手間がかかります。前の住人がワックスをかけていた場合は、剥離から始めるので1〜3万円ほど追加になります。深い傷が多い場合は、傷を残したまま膜で閉じることになるとお伝えしたうえで、それでよいかを決めていただいています。

まとめ|分類が決まれば、迷いはほとんど消えます

この記事のポイント
  • フロアコーティングの可否についての記載は、公式サイトで確認できませんでした
  • メンテナンスガイドは床を4分類し、挽板の厚みを2〜3mmと公開している
  • オイル塗装の床にはワックスを使わないよう明記。当社も施工を見送る
  • ルシードEXは挽き板2mm。削って直せないので、守るなら入居前
  • ベリッシュ シストSは工場でEBコーティング済み。密着の確認が要になる

住友林業クレストの公式サイトを読んでいて、当社が感心したことがあります。床の種類を先に聞く、という順番を崩していない点です。無垢と挽き板とシートを一括りにしない。オイル塗装だけは別扱いにする。当たり前のようでいて、ここを曖昧にしている案内文は世の中に多くあります。

コーティングの可否を書いていないことも、当社は不誠実だと感じていません。床ごとに答えが変わる案件を、一行で片づけなかっただけだと読んでいます。その代わり施主の側に、自分の床を知る手間が残ります。

その手間を引き受けるのが、私たちの仕事です。品番が分からないままのご相談で構いません。現地で床材を確認し、目立たない場所で密着テストをしてからご提案します。相性が悪いと判断した場合は、理由をお伝えして施工をお断りすることもあります。

この記事に記載した住友林業クレストの製品情報とお手入れに関する記載は、2026年9月時点で同社の一般向け公式サイト、製品サポート、メンテナンスガイド、よくあるご質問に掲載されていた内容を確認したものです。施工店向けの資料や有償のデジタルカタログまでは範囲に含めていません。製品ごとに扱いが異なる場合があり、記載も更新されることがあります。費用と耐久年数は当社の施工実績にもとづく目安で、保証値ではありません。実際の施工前には、必ず最新の情報をご確認ください。

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