
フロアコーティングアドバイザー|執行役員
対馬 洋二
業界10年。数多くのフロアコーティングを手掛けてきました。前職はRIZAPのトレーナーとして、お客様の目標達成にコミット。その経験を活かし、売るためではなく、本当に必要なご提案を大切にしています。床材との相性や種類、ペット対応まで分かりやすくご説明します。


フロアコーティングアドバイザー|執行役員
対馬 洋二
業界10年。数多くのフロアコーティングを手掛けてきました。前職はRIZAPのトレーナーとして、お客様の目標達成にコミット。その経験を活かし、売るためではなく、本当に必要なご提案を大切にしています。床材との相性や種類、ペット対応まで分かりやすくご説明します。

ベリッシュ シストSの床です。カタログにEBコーティングと書いてあるのですが、これは何ですか。すでにコーティングされているなら、フロアコーティングは要らないということでしょうか。
EBは電子線のことです。電子のビームを当てて塗料を一瞬で硬化させる技術で、住友林業クレストはこれについてウレタンやUVコーティングに比べ、耐擦傷性や耐汚染性などの実用性、品質安定性に優れていますと説明しています。
つまりシストSは、業者が施工するUVコーティングより上だとメーカーが言っている膜を、工場の段階ですでにまとっています。この前提を知らずに見積もりを取ると、話が噛み合いません。
月300件以上のフロアコーティングを施工している専門業者として、シストSの性能表記をひとつずつ読み解きながら、上から膜を足す意味がどこにあるのかを整理しました。読み終えるころには、業者の説明のどこを聞けばいいかがわかるはずです。


フロアコーティングを調べていると、UVがいちばん硬いという説明をよく見かけます。業者が現場で施工できる範囲では、それは正しいです。ただし工場の世界にはその先があります。
| 硬化の方法 | 使うエネルギー | どこでできるか | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ウレタン塗装 | 時間をかけて自然硬化 | 工場でも現場でも | もっとも一般的です。やわらかめの膜になります |
| UV塗装 | 紫外線 | 工場でも現場でも | 硬い膜になります。業者が施工できる最上位です |
| EB塗装 | 電子線 | 工場のみ | 硬化の度合いが高く、無溶剤で塗れます |
住友林業クレストは、EBについて製造工程での省エネルギー化やCO2削減、無溶剤塗工が可能な次世代環境・健康対応型のコーティング技術ですとも説明しています。溶剤を使わずに塗れるため、室内の空気環境の面でも有利という位置づけです。
出典 住友林業クレスト ベリッシュ シストSの表面特殊加工による高機能性
EBの説明に、無溶剤塗工が可能という言葉が出てきます。塗料は普通、成分を溶かすための溶剤を含んでいて、乾くときにそれが空気中へ出ていきます。この溶剤が、いわゆる塗料のにおいの正体です。
EBでは溶剤を使わずに塗れるため、においの原因になる成分が出ません。シストSがF☆☆☆☆、空気環境 等級3、VOC対策という表記を持っているのは、この技術と無関係ではないと考えられます。
一方、現場で施工するフロアコーティングには溶剤を含むものがあります。施工後しばらくにおいが残ることがあるのは、そのためです。空気環境を理由にこの床を選んだ方は、塗る塗料の成分も確認してください。水性のものや、においの少ないものもあります。業者に聞けば教えてもらえます。
電子線を当てる装置は大きく、遮蔽も必要です。住宅の中に持ち込めるものではありません。EBは工場でしかできない処理で、そこが決定的な違いになります。
フロアコーティングの営業で、当社の塗料はEBコーティングと同等ですという説明を受けたという相談をいただくことがあります。現場施工でEBと同じ硬化はできません。同等という言葉が出たら、何をもって同等と言っているのかを確かめてください。
ただし、硬さがすべてではありません。硬い膜ほど傷に強い一方で、割れやすくもなります。用途によっては、やわらかい膜のほうが向く場面もあります。ここは後で詳しく書きます。



工場の設備でやることと、現場でできることは違います。優劣ではなく、できることの範囲が違うという話です。


シストSの性能を理解するうえで、いちばん大事な一文があります。住友林業クレストは仕様の説明で、こう書いています。
強化フィルム+ハードベース(MDF)のダブル効果で、日常生活から生じるさまざまな衝撃や劣化、ペットの引っかき傷や汚れから素材を守ります。
住友林業クレスト ベリッシュ シストS 仕様の説明
ダブル効果という言い方がされています。表面のフィルムと、その下の硬い芯材。2つで守る設計です。ここを押さえると、あとの話がすべてつながります。
床が傷むとき、力のかかり方は大きく2つに分かれます。ひとつは表面をこする力。もうひとつは上から押す力です。
こする力はスリッパ歩きや掃除機のヘッドが作ります。これは表面の膜が受け止めます。押す力は落とした食器やキャスターが作ります。こちらは膜では止まらず、下の基材が受け止めるしかありません。シストSは、この2種類の力を別々の層で処理しています。
フロアコーティングが足せるのは、上の層だけです。どれだけ良い塗料を使っても、下の基材の性質は変わりません。この構造を知っていると、業者の説明のどこが怪しいかがわかるようになります。
もうひとつ、二層構造には弱点があります。表面の木目が印刷された柄である以上、削って直すという選択肢が最初からありません。
天然木の床なら、浅い傷は研磨で消せます。シートの床では、削った瞬間に柄が消えます。深い傷が入ったら、その板は元に戻りません。補修用のクレヨンやマーカーで目立たなくすることはできますが、近くで見れば跡はわかります。
これがフロアコーティングを検討する数少ない理由のひとつになります。直せない床だからこそ、傷が入る前に守っておくという考え方です。ただし、もともとEBコーティングが効いているので、上乗せできる差は限られます。直せないという事実と、もともと強いという事実が、反対を向いているのがこの床の難しいところです。
なお、柄が廃番になっていると同じものが手に入らないため、1枚だけ張り替えるという対応も難しくなります。気になる場合は、余りの板が残っていないか施工会社に確認しておくと安心です。
ハードベースと書かれているMDFは、木の繊維を細かくほぐして接着剤と混ぜ、圧力をかけて板にしたものです。密度が高く、均一で、表面が平らに仕上がります。家具の芯材としても広く使われています。
利点は、硬くてへこみにくいことと、木のような節や反りがないことです。一方で、水には強くありません。長時間水にさらされると膨らみ、一度膨らむと元に戻りません。
だから、目地から水を入れないことが大事になります。毎日の水拭きを避けたほうがいいと当社がお伝えしているのは、このためです。洗面所や洗濯機まわりで水をこぼしたときは、早めに拭き取ってください。表面のフィルムが守っているのは表面だけで、目地の奥までは守っていません。
シストSの製品ページには、性能の説明が8項目並んでいます。それぞれについて、フロアコーティングで上乗せできるのかどうかを、施工する側の視点で書きます。
| 公式の項目 | どこで実現しているか | コーティングで上乗せできるか |
|---|---|---|
| 擦り傷に強い | EBコーティングによる表面硬化 | わずかに。大きな差は出ません |
| 摩耗に強い | EBコーティング | わずかに |
| 汚れに強くお手入れ簡単 | 表面の特殊加工 | わずかに |
| キャスター傷に強い | ハードベース(MDF)という基材 | できません。基材の話です |
| 衝撃落下傷に強い | 基材の構造 | できません |
| 静圧荷重傷に強い | 基材の構造 | できません |
| 美しさ長持ち | 表面加工と基材の両方 | 紫外線を多少遮ります |
| 床暖房対応 | 強化フィルム+ハードベース(MDF) | むしろ膜側が不利になります |
灰色が4つ、橙が4つになりました。緑がひとつもありません。これがシストSという床の実態です。
ちなみに、他社の同等品と比べても、ここまで細かく性能を書き出している床材は多くありません。書いてあるということは、メーカーがその点を自信を持って打ち出しているということでもあります。裏を返せば、書かれていない項目はメーカーが約束していない領域です。滑りにくさについての記載がないのは、そういう意味だと受け取ってください。
表を見てほしいのですが、キャスター傷、衝撃落下傷、静圧荷重傷という3つは、どれもへこみに関する性能です。そしてこの3つは、表面の膜ではなく基材のハードベース(MDF)で実現されています。
住友林業クレストの説明では、ハードベース(MDF)を基材に使用していますので、キャスター付きの家具や椅子を動かした時の傷やへこみが目立たない耐キャスター仕様ですとされています。硬い芯材で上からの力を受け止める構造です。
コーティングの膜は、厚くても数十マイクロメートルです。髪の毛より薄い膜で、上から押される力を受け止めることはできません。へこみ対策を期待してコーティングを検討している方は、目的と手段が合っていません。デスクチェアのキャスター傷が心配なら、チェアマットを敷くほうが確実です。
すり傷、摩耗、汚れ、紫外線。この4つについては、膜を重ねればわずかに上乗せできます。わずかに、と書いているのは、もともとEBコーティングが効いているからです。
何もしていない床に膜をのせれば、体感できる差が出ます。EB処理済みの床に膜をのせても、住んでいて気づくほどの差にはなりにくい。これが当社の経験です。効果がないのではなく、差が小さいという話です。



業者さんには、コーティングで傷がつきにくくなると言われたのですが。



嘘ではありません。ただ、もともと擦り傷に強いと書かれている床です。どのくらい良くなるのかを具体的に聞いてみてください。答えられるかどうかで、その業者の姿勢がわかります。


シストSは床暖房に対応しています。ただし、公式の説明には注記がついています。
「強化フィルム+ハードベース(MDF)」の採用により、温度、湿度の変化に強く、ひび割れが起きにくくなっています。※床暖房にご使用の場合、加熱・乾燥で隙間が生じる場合があります。
住友林業クレスト ベリッシュ シストS 床暖房対応の項
ひび割れは起きにくいけれど、隙間が生じる場合がある。板と板のあいだが開くという意味です。
床暖房を入れた冬、床材は乾燥して縮みます。目地が少し開きます。暖房を切った季節には、また戻ります。この動きは毎年繰り返されます。
塗膜は床材ほど伸び縮みしません。目地をまたいで膜が張られていると、床が縮んだときに膜が引っ張られます。すぐに切れるわけではありませんが、数年かけて目地の線に沿って細かいヒビが入ることがあります。
もう一点、施工の時期も関係します。床暖房で目地が開いている冬に塗ると、開いた隙間に塗料が入り込みます。春になって床が戻ると、隙間に入った塗料が行き場を失います。当社では、床暖房のある家では暖房を切って数日おいてから施工するようにしています。この段取りを説明しない業者には、注意してください。
EBコーティング済みの床でも、施工はできます。当社の事例をご紹介します。
埼玉県さいたま市南区、一建設の新築戸建てです。新築で愛犬と暮らすため、床の滑りが気になるというご相談でした。シートフローリングの質感に合わせて施工方法を選び、木目の雰囲気を活かした仕上がりにしています。床材の表面とコーティング後のグリップ感の相性を確かめてから進めました。








この施工事例の詳細を見る(埼玉県さいたま市南区・2026-09-18公開)
シートの質感に合わせるというのが要点です。もとの床の見え方を壊さないように薬剤と塗り方を選びます。シストSのようにEB処理済みの床でも、手順を踏めば対応できます。


シストSには、木目柄のほかにスギ柄とアラベスカート柄が用意されています。アラベスカートは木目ではなく石の柄で、白地に灰色の脈が走る模様です。
コーティングを検討するとき、柄によって仕上がりの見え方はかなり変わります。木目柄は色の濃淡があるため、多少の艶ムラが木目に紛れます。石柄は明るく平坦なので、ムラがそのまま目に入ります。同じ塗料で塗っても、仕上がりの印象は別物になります。
ここで、シストSの柄と品番の対応も確認しておきます。住友林業クレストのカラーバリエーションでは、HD オークホワイト柄、SD サクラ柄、KD カバ柄、GD グレイクリ柄、ND ナット柄、そしてスギ柄とアラベスカート柄がシストS-Jに、AD オーク柄、TS オークグレー柄、JC ウォルナット柄がシストS-Fに分類されています。ご自宅の柄の記号がわかれば、どちらの基材かも判別できます。
業者が見せてくる施工例の写真は、たいてい木目柄です。アラベスカート柄やスギ柄を選んでいる場合、その写真は参考になりません。必ずご自宅の床でサンプルを作って、実際の照明の下で見てから決めてください。
それでも施工することになった場合、どういう手順を踏むのかを書いておきます。業者の説明と見比べる材料にしてください。
施工前に床を歩いて、鳴る箇所と目地の開きを記録します。あとで原因をめぐって話がこじれないようにするためです。写真も撮ってお客様と共有します。
表面は強化フィルム(オレフィン)です。塗料が食いつくかどうかを、実際の床で試します。結果が出なければ、そこでお断りします。テストは無料です。
皮脂と生活汚れを落とします。剥離剤は使いません。シートの床で強い薬剤を使うと、シート自体を傷めるためです。
オレフィン用の下塗り材を入れます。この工程を省く業者がいますが、シートの床では省いてはいけません。剥がれの原因になります。
塗料を目地に流し込まないよう、量と速度を調整します。溜まったまま乾くと、目地だけ艶が強く出て線が浮きます。
5つの工程のうち、シートの床でいちばん効いてくるのが4番目です。オレフィンは塗料をはじきやすい素材なので、下塗り材で橋渡しをしてやる必要があります。
見積もりを取るときに、プライマーは何を使いますかと聞いてみてください。製品名まで答えられる業者は、シートの施工経験があります。うちの塗料は下塗り不要ですという答えが返ってきたら、その根拠を確かめてください。
他社で施工した床が数か月で剥がれたというご相談をいただくことがあります。原因の多くは、この工程の省略です。剥がれた膜を全部落としてから塗り直すことになるので、最初から丁寧にやるより高くつきます。
シストSは、住友林業クレストが美しさ長持ちと書いている床です。日光や熱・湿度による劣化や変色・退色、干割れを抑制し、しかも摩耗性にも優れていますので、美しさが長もちしますという説明がされています。
それでも、住めば変わります。当社が現場で見ている順番はこうです。
| 変わる場所 | 起きていること | コーティングで防げるか |
|---|---|---|
| 玄関からリビングへの動線 | 砂を踏んで歩くことで、EB層が少しずつ摩耗します | 進行を遅らせます |
| キッチンの前 | 油を含んだ汚れが積み重なり、くすんで見えます | 拭き取りやすくなります |
| 窓際 | 日光の当たる帯だけ、わずかに色が変わります | 紫外線を多少遮ります |
| ダイニングの椅子の下 | 引きずりで細かい傷が集中します | フェルトのほうが効きます |
| 床暖房のある部屋の目地 | 乾燥で隙間が開いたり戻ったりします | 膜のほうが割れます |
橙の3つについては、コーティングに意味があります。ただし、どれも新築のうちに急ぐ必要はありません。数年住んで変化が見えてから判断しても、間に合う種類の問題です。


| 目的 | 費用の目安(30㎡) | 当社の判断 |
|---|---|---|
| ペットの滑り対策 | 18万円前後から | お受けします。目的が明確です |
| 動線の摩耗を遅らせたい | 15万円前後から | 数年住んでからで十分です |
| 傷や汚れが心配 | – | 見送りをおすすめします |
| へこみが心配 | – | コーティングでは防げません |
| 密着テストのみ | 無料 | 迷っているなら、まずこれを |
緑がついているのは、ペットの滑り対策と密着テストだけです。シストSはすでによくできた床なので、当社から積極的におすすめする場面は限られます。


シストSについて、住友林業クレストはワックスにも触れています。短い一文ですが、読み方が大事です。
汚れの付着しにくい仕上げになっていますので、ワックスは不要です。※ワックスの種類、塗布条件により密着不良を生じる場合があります。
住友林業クレスト ベリッシュ シストS ワックス不要の項
不要ですと書いたあとに、わざわざ密着不良の注記が添えてあります。塗ってもくっつかないことがあると、メーカー自身が認めているわけです。
ワックスとフロアコーティングは別物ですが、床の表面に液体を塗って乾かすという点では同じです。密着不良が起きる理由も同じで、オレフィンという素材が塗料をはじきやすいからです。
住友林業クレストはフロアコーティングについて何も書いていませんが、ワックスで密着不良が起きる床は、コーティングでも同じ問題が起きえます。書かれていないことを許可と読まずに、この注記を手がかりにしてください。
すでにワックスを塗ってしまって、白く濁ったりベタついたりしている場合は、無理に剥がそうとしないでください。シートの床で強い剥離剤を使うと、シートごと傷めます。状態を見てから判断するので、一度ご相談ください。


傷や汚れの対策が目的であれば、必要性は高くありません。住友林業クレストはEBについて、ウレタンやUVコーティングに比べ、耐擦傷性や耐汚染性などの実用性、品質安定性に優れていますと説明しています。業者が施工できるUVより上位だとメーカーが言っている膜が、すでにかかっている状態です。ただしペットの滑り対策のように目的が別にある場合は、検討する意味があります。目的をはっきりさせてから考えてください。
硬化に使うエネルギーが違います。UVは紫外線、EBは電子線です。EBのほうが硬化の度合いが高く、無溶剤で塗れるという利点もあります。ただしEBの装置は大きく遮蔽も必要なため、住宅の中には持ち込めません。工場でしかできない処理です。業者からうちの塗料はEBと同等ですという説明を受けた場合は、何をもって同等と言っているのかを確かめてください。現場施工でEBと同じ硬化はできません。
防げません。シストSのキャスター対応は、表面ではなく基材のハードベース(MDF)で実現されています。硬い芯材で上からの力を受け止める構造です。コーティングの膜は髪の毛より薄いので、押される力を受け止めることはできません。デスクチェアのキャスター傷が気になるのであれば、チェアマットを敷くほうが確実です。なお公式にも、傷やへこみが生じないわけではないという注記が添えられています。
当社では、床暖房を切って数日おいてから施工しています。公式に床暖房にご使用の場合、加熱・乾燥で隙間が生じる場合がありますと書かれているとおり、暖房中は目地が開きます。その状態で塗ると、開いた隙間に塗料が入り込み、春に床が戻ったときに行き場を失います。施工の段取りを説明しない業者には注意してください。時期の配慮は、仕上がりに直接影響します。
シートの床では必要だと考えてください。表面は強化フィルム(オレフィン)で、塗料が食いつきにくい素材です。下塗り材で橋渡しをしないと、密着が不十分になります。見積もりのときにプライマーは何を使いますかと聞いてみてください。製品名まで答えられる業者は、シートの施工経験があります。下塗り不要という説明が返ってきた場合は、その根拠を確かめてください。
抗菌の機能は表面に触れることで働くので、上から別の膜をのせれば働かなくなります。シストSの仕様欄には抗菌という項目があり、これは表面がフィルムであることを生かした機能だと考えられます。衛生面を重視してこの床を選んだのであれば、コーティングでその機能を覆うのはちぐはぐな話になります。当社に相談をいただいたときは、必ずこの説明をしています。
大きくは変わりません。住友林業クレストの説明では、S-Jは北海道産のトドマツを使用した合板、S-Fはファルカタ材を基材にしています。表面の仕上げは同じ考え方なので、コーティングの判断も同じです。ただしファルカタは非常に軽くやわらかい木なので、重いものを落としたときのへこみ方には差が出る可能性があります。柄の記号で判別でき、HD、SD、KD、GD、NDがS-J、AD、TS、JCがS-Fです。
急いで決める必要はありません。シストSはEBコーティング済みで、擦り傷、摩耗、汚れ、キャスター、衝撃落下、静圧荷重のすべてに対策が書かれている床です。入居時に施工しなければ手遅れになる、ということはありません。動線の摩耗が見えてくるのは数年先なので、そのときに改めて考えても間に合います。オプション会経由は仲介が入るぶん価格が上がる傾向もあります。


ベリッシュ シストSの製品ページを最初から最後まで読むと、住友林業クレストがこの床にどれだけ機能を詰め込んだかがわかります。表面はEBコーティングで硬化させ、基材にはハードベース(MDF)を入れてへこみを受け止め、そのうえで抗菌、耐クラック、ペット対応、ワックス不要、床暖房対応まで並べています。
そこにフロアコーティングを足すという話は、ゼロから守りを作る工事ではありません。すでにある守りの上に、薄い一枚を重ねる工事です。効果がないとは言いませんが、体感できる差は小さくなります。当社が傷や汚れを目的としたご相談に対して見送りをおすすめしているのは、この理由です。
とくに気をつけてほしいのは、へこみ系の相談です。キャスター傷、落下傷、椅子のガタつきによる凹み。これらはすべて基材で守られている項目で、表面に膜をのせても防げません。チェアマットを敷くほうが、はるかに確実で安上がりです。目的と手段が合っているかどうかを、先に確かめてください。
一方で、犬や猫が滑って困っているというご相談は別です。滑りはシストSの仕様に含まれていません。ペット対応と書かれていても、それは傷と汚れの話です。この場合は目的がはっきりしているので、当社もきちんとお受けします。
そして、どちらの場合でも最初にやるのは密着テストです。表面が強化フィルム(オレフィン)である以上、塗料が食いつくかどうかを実際の床で確かめないと始まりません。メーカー自身がワックスについて密着不良を生じる場合がありますと書いている床です。テストを飛ばして契約を勧めてくる業者がいたら、その時点で断ってください。順番を守れば、失敗はほとんど避けられます。
住友林業クレストの床材全体の分類や、挽き板のルシードEXとの違いについては、メーカー単位でまとめた記事で整理しています。あわせてご覧ください。

